どうも!LSSです!
先日あげた、昔書いた小説っぽいもの
に続き、もひとつ昔書いたものをあげてみます。
まえがき
LSSが高校生の頃、ポケコンという端末を入手して、BASICでゲームプログラムを作って遊んだり、それを専門誌に投稿したりしていました。
以前に記事にした、このへんの時期ですね。
で、その雑誌投稿ゲームプログラム第一号が、特撮ヒーローアクションをモチーフにした「土木戦士ショベルマン」というゲームだったのですが、その後、その設定上の第一話を小説化したのが、今回の作品となります。
土木戦士ショベルマン第一話 ~ショベルマン誕生~
ずどどどっ、ずどどどっ、ずどどどどどっ…。
どこか間の抜けたマシンガンの音が荒野に鳴り響き、銃弾に貫かれた俺の身体は 跳ね飛ばされる様に後ろの地面に叩きつけられた。 血飛沫が目に入り、何も見えなくなる寸前に見たのは、間抜けないでたちのヒポ リスの怪人と、既に意識を失った兄が彼らに連れ去られる場面だった。
急速に意識が遠退いてゆく。
『俺は死ぬんだな…。』
俺の意識は途切れた。
***
「脳波は正常です。この分だと、あと数分で意識を取り戻すかも知れません。」
「…拒絶反応も無いようだ。全く、ここまでうまくいくとは思わなかったよ。」
二人の医師、DrEとDrGの報告を聞いて、DrKは満足げに微笑んだ。
「みんな、よくやってくれた。我々は一人の未来ある青年の命を救うと共に、我ら 『正義の医師団』の起死回生の切り札とも言うべき戦士を得た。」
DrKの言葉に、その場にいた二十数人の医師達の歓声があがる。
「DrK、『亮』の意識が回復します。」
「分かった。では諸君、各自の持ち場に戻ってくれ。あとの事はおって連絡する」
***
目を開けた俺が見た景色は…俺が以前想像していた、いわゆる「あの世」とは似 ても似つかぬものだった。味気ない灰色のコンクリートの壁に囲まれた部屋、昔の アニメのコクピットなんかに置いてありそうな、コンピュータらしき機械。 陳列され、液体に入れられた内臓のようなもの。
そして俺の目の前に立つ三十半ばほどの白衣の男は、どう見ても天使にも地獄の 亡者にも閻魔大王にも見えない。…人間の姿に化けた悪魔だ、と言われたらそう見 えるかも知れないが。
「おはよう、亮君。」と、悪魔は言った。 「新しい体はどうかね?」
新しい体?何の事だろう?
「…亮君、私が見えるか?」
…こわごわ、うなづく。
「そうか、良かった。目に血が入っていたようだから眼球ごと洗浄したんだが、なにぶん、視神経ってヤツはデリケートだからね。」
一体こいつは何を言ってるんだろう?
「あんた…、誰だ?」
「私はDrK。『正義の医師団』のメンバーの一人だ。」
「正義の医師団…?」
「狂信者集団、『ヒポリス教団』の野望を打ち砕くべく、集まった26人の有志で結成される医師団体だ。…それ以上の事は言えない。」
ヒポリス!
そうだ。俺は兄と共に、邪悪な活動を続けるヒポリス教団を追っていた。が、奴 らの罠にはまり、俺は…
「あんたが…あんた達が助けてくれたのか?」
「君の…命は救う事が出来た。だが、残念ながら体は…あの通りだ。」
そういってDrKは液体に入れられた内臓の陳列を指差した。
そのまん中にあるのは…心臓!?
俺は思わず自分の胸に手を押し当てた。
”何か”がそこで鼓動している。明らかに心臓では無い何かが。
俺の体はどうなったんだろう?…見た目はあまり変わったように見えない。
が、体の中に、肉では無い何かが、ところどころ埋め込まれているのがはっきり判 る。
「無数の銃弾が君の体をずたずたにしてしまった。中には修復可能な臓器もあったが、殆どの臓器は人工の物と交換せざるを得なかった。」
人工内臓…?噂には聞いていたが、ここまで実用出来るレベルに達しているとは 思わなかった。
「君は運が良かった。ちょうど我々の研究が完成した頃に、君達がヒポリスに襲われているのを発見したのだから。」
研究…?
「『ヒポリスの野望を打ち砕く』ために『人工臓器』の研究を?」
「ヒポリスが、特に熱心な信徒に人体改造を施し、常人の数倍の力を持つ怪物を作り出しているのは、君も知っていると思う。…ヤツらに対抗するには、こちらも 更に強力な改造人間を作らざるを得ない、という結論に達し、超人的な活動を提供する人工臓器の開発に着手した。」
「つまり俺を…俺を改造したワケか?」
「悪く思わないで欲しい。他に君を救う術は無かったのだし。」
昔の…例えば石ノ森章太郎の漫画なんかだと、主人公はここで苦悩したりするところだが、何故か俺はそういった悲観的な感情は一切感じなかった。
むしろ、自分に与えられた新たな能力を早く知りたいとすら思ったし、わくわくさえしている。
…DrKは全てを教えてくれた。
***
ショベルマ~ン!(アイキャッチ)
***
(CM) 今、地獄の底から這い上がり、悪を打ち倒す正義のヒーロー! 土木戦士!ショベルマン!!
今だ、ショベルキック!とどめだ、ショ・ベ・ルゥ…フラーーーーーッシュ!!
「君も!ショベルマン・ソーセージを食べてショベル・チャージ!!」
ショベルマン・ソーセージ。今ならもれなくシールがついてくるぞ!
***
(CM) 今月のて○びくんはショベルマン特集!ひゃっほー!!ショベルマン大図解!今月登場のヒポリス怪人をテレビより先に紹介! 付録は超リアルなショベルマン紙フィギュア!! さあ、本屋さんへレッツ・ゴー!!
***
(CM) きみたち!ゴールデンウィークはおいしいお食事と楽しいショーを見ながら、ショベルマンを応援しよう!応援してくれる隊員のみんな!今すぐ、電話を、待っ てるぞ!!
***
土木戦士!ショベルマ~ン!(アイキャッチ)
***
全ての説明が終わった頃、部屋に別の白衣の男が入ってきた。分厚い書類を手に持っている。
「ん?どうしたんだね?DrZ。」
「DrK、これが、『ショベルマン改造設計図』に間違いありませんね?」
「そうだが…?」
DrZと呼ばれた男は満面に邪悪な笑みを浮かべた。
「ならば、これは我々ヒポリス教団が戴いてゆくとしよう!」
「…?。お前は!?」
DrZが白衣を脱ぎ去り…あの、一度見たら忘れられないほど間抜けないでたちの怪人がそこにいた。
「ヒポリスの信徒、デスホーン!」
言うが早いか、書類を小脇に抱え、もう一方の手で、小型の発信機のような物のスイッチを押した!
大音響と共に壁が崩れ、天井が落ちてくる!!
***
濛々とたつ砂煙の中に俺はいた。
まわりにあるのは建物の残骸と…小走りに逃げてゆくデスホーン。
…大変だ!あの設計図が奴等の手に渡ったら奴等はきっと…!!
「待てぇッ!!」
慌てて走り出す俺に気付いたヤツは身を翻し、俺に向かって突進してきた!
間一髪かわしたが、ヤツはそのまま残骸の壁に突っ込む!
何枚かの壁を一気に突き破り、やっと止まった。もはや建物の跡すら無い。
…駄目だ、今の体ではかないそうにない、と思った俺はそばにあったショベルを掴み、そこらの地面を掘り返し始めた。
「ククク、自分の墓でも掘るのか?…おい、手伝ってやれ。」
デスホーンがそういうと、今まで何処にいたのか、ヒポリスの下級戦闘員がわら わらと現れ、俺に襲いかかる。 必死でかわしながら、それでも俺はあちこち堀り続け…そしてついにショベリウ ムを掘り当てた。
俺はショベリウムを手に、声高く叫ぶ。
「ショベル・チャーーージ!!」
***
解説しよう!
神崎亮がショベリウムと呼ばれる金属を手にした時、人工心臓『ショベルチャー ジャー』は特殊な溶解液を分泌し、彼の掌から噴き出させる。液はショベリウムを 溶かし、ショベリウム溶液となって再び彼の体内へ。ショベリウム溶液はショベルチャージャーに流れ込み、ショベルチャージャーは そこから強大なショベリウムエネルギーを得る。その一部を、体全体に送り込み、筋力を増強したり、皮膚表面に特殊なプロテク トアーマーを形成したりし、ショベルマンへの変身が完了する。
この変身を『ショベル・チャージ』と呼ぶ!!
***
体全体に力がみなぎる…!
「これが…これが俺の体…ショベルマンか。」
目の前に迫る戦闘員に蹴りを入れる。
キックは空を裂き、当たった戦闘員はおろか、その先にいたヤツまでもまっぷたつにした。
「真空波で体を裂くとは…。」 「次は貴様だ!デスホーン!!」
邪魔な戦闘員を次々となぎ倒し、デスホーンに魂身の蹴りが入った…が、さすがに ヒポリスの改造を受けているだけあって、もちこたえた。
「粉砕してくれる!」
デスホーンがまたも突進してくる! …こいつは突進以外の攻撃を知らないのか?などと考えている隙に、俺の体は突進 をまともに食らった。
「ぐ…」
一瞬、息が詰まる…が、俺の体はヤツの体を受け止めた。 …あれだけの破壊力を持った突進であるにもかかわらず…。
***
デスホーンとの死闘は続いた。俺も、奴も、もうこれ以上の攻撃に耐えられそうに無い。
次の一撃で決まる…と思ったその時!
「う お お お お お お お お お お お お っ!」 奴が突進してきた。どうも本当に他の攻撃を知らないらしい。
俺は叫んだ。
「ショベル・フラーーーーーーーーッシュ!!」
***
世界が…強烈な光につつまれたかと思うと…一瞬のうちにその光は消え失せ、暗黒に変わった。 ショベル・フラッシュ。…残されたショベリウムエネルギーを全て熱と光に変え て放出する、ショベルマン最大の必殺技。ヤツは…デスホーンは粉々に砕け散った。
俺は…全てのショベリウムエネルギーを放出しきった俺の体は、プロテクトアー マーも無い、変身前の姿に戻っていた。
「俺は…俺は勝ったんだ…!!」
と、その時、背後に何者かの気配を感じ、振り向くと、どこにどう隠れていたのか ヒポリスの下級戦闘員が逃げ出すところだった。
そいつが手にしているのは…ショベルマン改造設計図!?
「ま、待て…!」
追いかけようとして俺は前のめりに倒れた。…その時初めて俺は、自分がまともに立っていられないほど疲労している事に気がついた。
あれが…あの設計図が奴等の手に渡ったら…。
「ま…て…」
第一話「ショベルマン誕生」終。
あとがき
…「もものおんがえし」をあげた時には無かった気恥ずかしさがめっちゃあるのは、なぜだろう…w
ゲームの時点では全7ステージ、1ステージ=1話で、全7話での最終回までの流れは予め決まっていたのですが、小説のほうはこの「第一話」しか書いていません。
書こうと試みた事はあったんですが、何故か全く書けなかったんですね。
ところで、このブログに小説をあげるという行動についてですが、「次はどれにしようかな」と過去作を読み返した際、「これ、はてなブログにあげていいのか?」って迷うものが多くて笑いましたw
問題点は、もものおんがえしと大差ないレベルなんですけどね^^;
てなとこで、今回はこのへんで!
次回もまた、よろしくです^^