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自作小説:「ステラ」全2話 一挙公開

 どうも!LSSです!

 

 今回はまた、むかーしに書いた小説を晒します!

 

 

まえがき

 今回も、昔、とある草の根ネットに投稿したものになります。

 そこの企画で「お題を決めて、書きたい人が小説を投稿する」というのがあって、そちらに投稿した作品です。

 

 一つ目はお題が「捨てられた少女」だった時の作品。

 二つ目はお題が「嘘」だった時の作品。

 

…特に一つ目は、そういう過程で書いた、って断っておかないとオチが「???」な感じのものになっていますw

 

 どちらも「ステラ」という少女の話です。

 

 

 

 

 

第一話「捨てられた少女」

 

「KO!勝者、ステラ=ブラウン!!」

 

 レフェリーの声が響き渡り、会場内にどよめきが起こる。
…無理も無い。年端もいかない少女が屈強な男達にまじってこの秘密裏に行われるレスリングを準決勝まで勝ち抜いたのだから。

 

 当のステラはというと…コーナーポストにもたれかかり、肩で息をしていた。


 元々、好きで出場したわけではない。

 両親に捨てられてから十年、育ててくれた義母が病に倒れ、その手術代を捻出するのに他に方法が無かったのだ。

 

 会場にいる客達は…皆、怪しげなマスクを着用しているが、その身なりから相当なブルジョワばかりである事がみてとれる。


 しばらくして、大会委員長直々の場内放送が始まる。

 

「皆様、大変永らくお待たせしました!只今より、準決勝を勝ち抜いた4人の勇士による決勝バトルロイヤルを行います!」

 

 会場内に最大級のどよめきと拍手がわき上がった!

 

「皆様に決勝戦進出の4人の勇士を御紹介します。今大会最年少の少女、ステラ!鋼鉄の筋肉を持つ美女、レタ!東洋最強の男、ショウ!殺戮兵器のジョー!」

 

 いつの間にかリングの上に、ステラの他に3人の男女が上がっていた。

 

 4人の中に、争いを好む者など一人もいない。それぞれ止むに止まれぬ事情からこの金持ち連中の暇潰しのゲームに参加しているのだ。


 彼らの名は、ステラ、レタ、ショウ、ジョー…。

 

 

 

 

 

 

第二話「嘘」

 

「ママ!」

 

 突如、病室の扉を押し開けて、少女は私の元に駆け寄って来た。

 

「ママ、見て!お金が出来たわ!これで手術が受けられるよ!!」

と言って、その少女…ステラは手に持ったトランクを開け、中の札束を見せる。

 

「ステラ…お前…。」
「言っとくけど、これはちゃんとしたお金よ。私が自力で、金持ち連中がやってる非合法なレスリング大会で優勝した賞金なんだから!」

 

『非合法なレスリング』の賞金が『ちゃんとしたお金』なのかという問題はさておき、私は義理の娘が私の為に命懸けで頑張ってくれた、という事が嬉しかった。

 

「それで…ママの病気、治るよね?ね!?」

 ステラはその小さく青く丸い純真な瞳でまっすぐ私の顔を見つめた。

 

…正直、これは辛かった。

 

 私の為に、必死で手術代を用意してくれたステラ。そんな彼女に本当の事を言う事が出来ない。

 

「ママ…どうしたの?答えてよ。病気、治るんでしょ??」

 

 ステラが不安げに聞いてくる。

 

「あ、ああ、もちろん!あたしゃ死なないよ。ステラのお陰で手術が受けられるんだもの、治らないワケが無いじゃないか!なぁ、ドクター?」
「え…えぇ。もちろんですとも。」

と、私の隣に立っている白衣の男が調子を合わせる。

 

 ステラは…今一つ腑に落ちない、といった感じだったが、とりあえずは納得したようだった。

 

「じゃ、また来るね!ママ、頑張って!」
「ああ、気をつけてお帰り。」

 

 ステラが病院から出て行くのを窓から見送る。彼女の姿が見えなくなるまで…。

 

 そして…

「ドクター、始めるよ!急いでプロジェクターの用意を!!」
「はッ!」

 男は、せかせかと部屋の明かりを消し、スクリーンを降ろし、プロジェクターをセットした。

 

 やがて、スクリーンに先日ステラの参加した大会の様子が映しだされる。

 

 スクリーンの上で、ステラが跳躍する。世界各地から集まった強豪を相手に拳を奮う。その腕力、スピード、共に人間技とは思えない。

 

 私は、親に捨てられて身寄りも無かった少女ステラを拾い、武術を教えこんだ。
 彼女は私を心の底から信じ、慕っている。

 

…そんな彼女を、私は、世界征服の為の兵として利用しようとしているのだ!

 

 

 今日、私はステラを拾ってから初めて、胸が少しだけ痛むのを感じた。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 はい。一つ目はただのダジャレでしたw

 なお、同ネットにLSSと感性の似た方がおられ、その方も同じようなオチにしようとされていたそうですが、ステラという名前が出てこなかったとか。

 

 その時の企画は、一人複数作品投稿OKだったので、ステラの話以外にも別にシリーズ化した話を書いたりもしていました。

 

 少し内容がアレなんですが、そのうちこっちに上げちゃうかも知れません。

 

 

…それにしても「ママ」って何者なんでしょうねwww