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自作小説:ハラキリ侍がゆく

 どうも!LSSです!!

 

 昨日の4時のニュースに続き、シリーズ第二回となる小説を公開します!

 

 

まえがき

時代劇風小説、と言っていいのか?
「ハラキリ侍がゆく」というイカれたタイトルだけが先にあって、それに合わせて中身を書いたようなものになります。

 

そういえば、昔、とある格闘ゲームの必殺技に
「キャラクターが切腹して、血しぶきを相手にヒットさせてダメージ」
という、これまたイカれたものがありましたねw

…それに比べたらまだ今作はかわいいもの…なのかも??

 

 

ハラキリ侍がゆく

第一回 ~に腹を切る~

 

 時は江戸末期。江戸の御城下に、「紅寿屋」という茶店があり、これが結構、近所でも評判が良かった。
というのも、この店独自の特製茶「久瑠蔵茶」なるものが絶大な人気で、特に若い娘などには「身を売ってでも飲む」と言わしめる程に、好まれていた。


…今日も大盛況の紅寿屋に、ふらりと現れた浪人風の男。


「おう、親父。相変わらず繁盛してるな。」
「Oh,これは原桐様。いつも,ごひいきいただきまって…」


 男の名は吉賀ピー太郎原桐。貧乏旗本の三男坊で、よく紅寿屋に出入りしている。


 紅寿屋の主人は、ちょっと変わった男で、言葉使いに妙ななまりがあり、瞳も青いので、南蛮人ではないかと言われているが、当人は懸命になって否定している。


 原桐は、店内に見慣れぬ給仕娘を見つけた。


「あの娘は?」
「サスガ吉賀様,お目,肥えてラッサル。あの娘は,お濡と言いまって,タッサンの娘の中から選び抜いた極上の娘にゴザル。」
「それほどの美形とも思えぬが…」
「何ヲおっさる,みすたーらびっと。アタシの検査は主に下の方の検査でして…」
…そう言って、紅寿屋「ヒヒヒ」といやらしい笑い声をあげた。

 


 

 数日後、原桐紅寿屋の前に来ると、紅寿屋の前は黒山の人だかり。


「ほう、今日はまた、いつもに増して大入りだな。」
「…何言ってやんでぇ、事件だよ。事件。」
「何があったんだ?」
「…ここで働いていた、お濡って娘が行方不明だってよ。何でも『旅に出る』とかいう書き置きがあったんだが、お濡は字が書けなかったらしいんだ。」
「と、言うと?」
「…つまりだな、紅寿屋の親父がお濡を殺して、偽の書き置きを造ったんじゃねぇか?ってゆ~疑いを掛けられてるってワケだな」


 やがて、人だかりの中から、縄で縛られた紅寿屋と、奉行所役人が出てきた。


「あっ,吉賀様!お助けクラサイ!!アタシ,お濡をテゴメにはしまったが,殺ちてなっかイマチェン!」
「おら、キリキリ歩け!!…ん?何だ、貴様は?」
「拙者、吉賀ピー太郎原桐と申す者。紅寿屋とは親しい者だが…」
「ふん。で、その貧乏浪人が何の用だ?」
「拙者には、どうしても紅寿屋がそんな真似をするとは思えんのだ。…もう一度、調べ直してはくれんか?」
やなこった。こちとら忙しいんだ。こんなケチな事件に時間掛けてらんねぇんだよ。」
「そこをなんとか!」
「お前な、人に物を頼む時にはだ。例えば袖の下に何かを包むとか、あるいは二重底の菓子折を持ってくるとか…」
「…とは言え、拙者は貴殿の言う通りの貧乏浪人。とてもそんな余裕は…。」
「ならば、諦めるんだな。いずれ紅寿屋打ち首獄門…」
きっ,吉賀様ァ!お助けヲ~!!」


 結局、紅寿屋は役人に引っ張られて行ってしまった。

 


 

御奉行様、この度は誠に有難うございました。」
「ふふ、紅寿屋に殺しの濡れ衣を着せ、店も取り潰し。おぬしの店は大繁盛、そして…」
「…御奉行様には、私から利益の半分を…」
胡卦志屋、そちはワルじゃ。全く恐ろしい男よのう。」
「何をおっしゃいますやら。御奉行様のほうこそ。」


「……?」
「どうなさいました?」
「これッ、そこにおるのは何者じゃ?」

 

 そう言って奉行は障子を開けた。

 

「拙者、吉賀ピー太郎原桐と申す者。御奉行様に是非お伺いしたき事あらば、参上した。」
「ぬぬ?無断で当屋敷に踏み入るとは、不届き千万…」
「重々、承知しております。この原桐、かくたる不届きな所業を行いましたる以上は腹をかっさばいて、お詫びする所存。
「ほう、ならば、この場にて切腹を命ずる。さあ、腹を切れい!
「では早速…と言いたい所ですが、」
「なんじゃ、この期に及んで命乞いか?」
「いいえ。…拙者の命と引き換えに、御奉行様が無実の罪をお着せになった我が友人、紅寿屋を御赦免頂きたく存じまして…」
「すると何か、自分は死んでもいいから、友を助けたい、と言うのじゃな。」
「左様にございます。」
「信じられんな。…もし、そちが本当に腹を切ったなら、その時はそちの言う通りにしよう。」
「お、御奉行様!それでは私との約束が…」
「落ちつけ、胡卦志屋。あの者が本当に腹を切ると思うか?」
「いや、しかし…」


「さあ、早う腹を切れ。」
「では、失礼して…」


 原桐は着物を脱ぎ始めた。


 そして、脇差を自分の腹にあてがった。
 胡卦志屋奉行は息を呑んだ。

 


 

「ぐっ…」


 原桐脇差で、自分の腹を刺した。そのまま、ぐいぐいと横一文字に腹を引き裂く。

 

…そして、動かなくなった。


「こやつ…、本当にやりおった…。」

 


 

 番組の途中ですが、ここで臨時ニュースをお伝えします。

 

 新番組、「ハラキリ侍がゆく」のプロデューサー、陳保達哉氏(53)が、番組撮影中に、主役「吉賀ピー太郎原桐」を演じる、吉賀ピー太郎さん(25)に、切腹を強要し、死なせていた事が判明し、先程、警察に逮捕されました。


 県警の調べに対し、陳保氏は、
「モノホンの切腹シーンが欲しかった。」
と、供述しているという事です。

 

 なお、「ハラキリ侍がゆく」は、本日を持ちまして打切りとさせて頂きます。…明日からは、「Dr.”ピー”ニスの悩み相談室」を、放送します。


 つきましては、視聴者の皆様から、「悩み」を募集します。
 ファックスでお寄せ頂いた皆様の悩みを、Dr.”ピー”ニスが責任を持って、解消致します。

 

 

あとがき

文字装飾は後から行っています。

ちょっとくどいかな?とも思いつつ。

 

しかしこれ、続けてもいいものかいまだ迷いはありますねw

昨日はコメントがつくごとに、いつもとは違う高揚感?のようなものを感じましたがwww

 

 

 

ってなとこで、今回はこのへんで!

次回もまた、よろしくお願いします^^