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自作小説:6年”ピー”組 吉賀先生「第二回 ~歪んだ関係~」

 どうも!LSSです!!

 

早いもので、この「20年以上前に書いたおかしなシリーズ」も今回で最終回となります!

これまでも時折 読み返していましたが、改めて公開するとなるとやっぱり
「よくこんなもの書けたな」
と、肯定的な意味でも否定的な意味でも思いますねwww

 

タガというか、自分で自分に無意識のうちにかけている制約?その全てを外しきれてはいませんが、今の自分に書ける気はしないですね。

 

  

まえがき

4時のニュース

ハラキリ侍がゆく

Dr.”ピー”ニスの悩み相談室

6年”ピー”組 吉賀先生「第一回 ~吉賀先生、参上!!~」

と続けてきましたが、堂々の(?)最終回です!

(実際には、当時これ以上書けなかったってだけですがw)

 

 

6年”ピー”組 吉賀先生

 

第二回 歪んだ関係

 

「アタシの愛人なんですよ。」
「えっ…?」

 

”ピー”ニスの目は、冗談を言っている様には見えない。

 

「そんな…、まさか…」
「御存じない。ハ! 知らなかったじゃ済まされませんよ。

 

 その時、廊下の方からけたたましい足音。それに続いて、職員室のガラスが、大きな音をたてて破られた。

 

バリンッ!!

 

ピー太郎っ、俺はどうなるんだよっ!」
”ピー”…!!」
”ピー”から聞いたぜ…。 俺というものがありながら、なんで”ピー”なんかに手を出したんだよっ!」
「違うんだ、”ピー”。あれは”ピー”が…」

 

 言いかけて吉賀はハッと口をつぐんだ。
…今、ここで”ピー”の事を話すと、”ピー”ニス”ピー””ピー”の関係が知られてしまう。

 

”ピー”がどうかしたんですか,吉賀先生?」
「い、いえ。何でもありません。」
「…ピー太郎大馬鹿野郎ッ!!

 

”ピー”は泣きわめきながら、職員室を飛び出した。

 

”ピー”っ!!」
「おおっと,吉賀先生。まだアタシとの話が済んでませんよ。」

 

”ピー”ニスが、”ピー”を追おうとした吉賀の肩を掴んだ。

 

「どう落とし前つけてくれるんですか?」
「…もう、どうにでもして下さい。私はもうおしまいです。」
「OK。では,貴方のカラダで償って頂きましょうか。」
「えっ…!?」

 

”ピー”ニスの目は、やはり冗談を言っている様には見えなかった。

 


 

 昨夜、”ピー”ニスの太鼓腹に押し潰されそうになりながら吉賀が考えたこと…。

 

”ピー”が全ての元凶だった。
…そう言えば、何故”ピー”吉賀に関係を求めたのだろう?

 

 愛する”ピー”と同じ位置に立ちたかったのだろうか?
…でも、それをわざわざ”ピー”に話したら、”ピー”に嫉妬心をおこさせるだけではないのか?

 

 復讐? ”ピー”を奪われた恨み…?

 


 


…二重の意味で、眠れぬ夜を過ごした吉賀は、重い足をひきずる様にして学校に辿り着いた。
”ピー”は欠席していた。

 

”ピー”、俺との事を”ピー”に話したそうだな。」
「…はい。」

 

 吉賀は、”ピー”を屋上に呼び出していた。

 

「何故そんな事を…。そんな事をしても”ピー”との仲が元に戻る訳じゃないんだぞ。」
「分かってます。」
「じゃあ、何故?」

 

”ピー”は答えなかった。

 

「…無理に答えろとは言わない。おまえにもおまえなりの事情があったんだろう。でもな…」

 

 吉賀は、一呼吸おいてから 続けた。

 

「先生だって、”ピー”を本気で愛してたんだ。男同士だろうと、教師と生徒だろうと、そんな事は関係ない。
 純粋に、一人の人間として”ピー”を愛していたんだ。」

 

”ピー”は顔をあげた。

 

 反対に、吉賀はうつむいていた。

 

「先生…、泣いてるの?」
「…”ピー””ピー”とつきあっていたなんて知らなかったんだ。
 でも、それを知った今となっては、一人の教師として、身を引くべきなのかも知れない。」
「………。」

 

 吉賀は顔をあげた。

 

「すまなかった。愚痴っぽい話をしてしまって。
 …今一番つらいのは、俺じゃなくて”ピー”なのかも知れない。
 そして、彼を慰められるのは”ピー”、おまえしかいないんだ。」
「………………。」
”ピー”を宜しく頼む。俺は…俺は教師として”ピー”を諦め…」
「…吉賀先生っ!!」

 

”ピー”は突然、大きな声をあげた。

 

「先生…、あたし、嘘ついてました…。
「…え?」

 


 

…二人は、真っすぐ職員室を目指した。


「…待ちな、お二人さん。」
”ピー”君!!」

 

 欠席していたはずの”ピー”が、二人の行く手を阻んだ。

 

「おまえなんかに、俺のピー太郎を渡してたまるか。
 ピー太郎がおまえを選んだのなら、俺は…、おまえをっ!!」
「やめろ!”ピー”!!誤解だっ!!!」
「…え?」

 


 

「えっ、狂頭が…?」
「ああ。全ては”ピー”ニスの罠だったんだ。
 俺は”ピー””ピー”とつきあってたと聞いて…」
「ちょっと待て、…俺が”ピー”とつきあってた??」
「ごめんなさい、”ピー”ニスにそう言うように言われて…」
「…”ピー”に罪は無い。
 ”ピー”の家は”ピー”ニスに借金があって、”ピー””ピー”ニスの愛人にしてしまっていたんだ。」
「あたしのお父さんは山師で、一年前に外国で死んじゃったの…。
 でも昨日、お父さんの部下の方がうちに見えて、
 『お父さんの事業は成功した。油田を掘り当てたから、利益の半分を受け取って欲しい』って…。」
「それで、すぐさま その金を”ピー”ニスの銀行口座に振り込んできた。
 もう”ピー”は自由の身だ。」
「…どっかで聞いたような話だな。」
「それで たった今、先生に全部お話ししたの…。」
”ピー”、すまん。
 …俺の不注意で おまえに悲しい思いをさせてしまって…。
 俺は教師どころか、人間失格だ。」
「何言ってんだよ、ピー太郎
 あんたは最高の教師だぜ!!」
「許してくれるのか?」
「…許せねぇよ。」
「…………。」
「あぁ、絶ッ対に許せねぇ
 …おい、何やってんだよ。一緒に”ピー”ニスぶん殴りに行こうぜ!!
”ピー”!!」
”ピー”君…」

 


 

”ピー”ニスの、
『全ての教師を自分の愛人にして 校長の椅子を奪う』
という、馬鹿馬鹿しくも遠大な計画は阻止された。


”ピー”ニス強姦罪で逮捕されると、被害者が次々と名乗りを上げた。
…計画は完了寸前だったのだ。

 


 

「や~、助かったよ、吉賀先生
 …もう少しで私はこの学園を追放される所だったんだね。」
「お礼には及びません、陳保校長
 私は一人の教師として当然の行動をしたまでです。」


「ところでな、吉賀先生
 ”ピー”ニスの抜けた跡を 埋めにゃあならんのだが…」
「そんな…。私のような弱輩者に、教頭など とても…」
「誰が おまえにさせてやると言った?
 …実は、よその小学校の教頭にもう頼んであるんだ。」
「はぁ…。」
「ところが、その小学校はド田舎にあるために、その教頭が抜けると、教師の数がどうしても足りなくなってしまう。
 そこで、君と教頭を交換する事で話がついた。」
「えっ、そんな…!!」
「何か不満があるのかね?
 向こうは田舎だが、君好みのセクシーな小学生がいっぱいいるぞ。」
「おことわりします。私にはもう”ピー””ピー”しかいません。」
「ふん、”ピー”一筋か。…そっちの窓を見たまえ。」

 

 吉賀は校長の指した窓からグランドを見下ろした。
”ピー”が、”ピー”と楽しそうに何か話している。

 

「なかなか、似合いのカップルだ。違うかね?」
「…………。」
「君にだって、覚えがある筈だ。
 一人の『少年』だった日々。周りにはたくさんの友達。
 その中にいた特別の存在だった女の子…」
「…………。」
”ピー”は まだ子供だ。
 …これからも多くの人と出会い、時には愛しあい、最愛の人をみつけだして、結婚するだろう。」
”ピー”にももう、私しかいません!!
 私は彼を必ず幸せにして見せます!!」
「…もう一度、下を見たまえ。」

 

 グランドでは、”ピー””ピー”がいた。
…二人の距離は さっきよりグンと近ずいたように見える。

 

「あっ…!!」

”ピー””ピー”の顔が一瞬 重なった。
…すぐに離れた二人の顔が真っ赤になっていたのが、3階の校長室からも はっきり見えた。

 

「ほほぅ、やるねぇ。君のクラスの生徒は。」
”ピー”…。」

 

 さすがに吉賀のショックは大きかったようだ。

 

「さて、返事を聞かせてもらおうか。吉賀先生。」

 


 

”ピー”君。 あたしね、一つだけ、先生に話さなかった事があるんだ。」
「へぇ…、何?」
「…あたし、本当は ずっと前から、”ピー”の事スキだったの。」

 

 

~次回予告~

「先生はド田舎の学校に転勤する事になった。」

 吉賀の突然の発表に、教室はどよめいた。

”ピー”。…前にも言ったが、”ピー”を宜しく頼む。」
「先生…。」

 幼い二人の涙の前に、ゆらぐ吉賀ピー太郎の心。

「たっ、大変だっ!濡田先生が…」

 パ~ポ~パ~ポ~パ~ポ~…

吉賀ピー太郎殺人容疑で逮捕する!!

…次回 6年”ピー”組吉賀先生
「さよなら、吉賀先生」…をお送りする予定でしたが、視聴率低迷のため、打切りとさせて頂きます。



 

 

あとがき

「ガラスの割れる音はバリンッじゃないだろう!」と思いますが、そのままにしておきました。

ハラキリ侍がゆくでは「命に換えても助けたい友」だった吉賀と"ピー"ニスですが、こちらでは完全に"ピー"ニスが悪役に徹しているのは劇中劇ならではですね。

 

「さよなら、吉賀先生」…読んでみたいような、次回予告だけで十分なような…?www

 

 

 

ってなとこで、今回はこのへんで!

次回もまた、よろしくお願いします^^